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社長コラム

「小四男子の渋い趣味」

2020年6月 1日掲載

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 小学四年生の初夏の思い出。担任の先生が家庭菜園好きだったこともあり、校庭の片隅に先生専用の畑があり、ジャガイモや大根、メロンなどを作っていた。時々、水や肥料をあげるのを手伝っていたので、収穫の喜びも一入だった。家でも家庭菜園を嗜めないかと考えたものの、我が家にはそんな場所はどこにもない。そこで思いついたのがプランター栽培。家には朝顔の観察で使った素焼きの植木鉢があったがプランター代わりなるサイズではない。ある日、近所のお魚屋さんに御使いを頼まれた時のこと。店先に積まれていた発泡スチロールの箱が目に留まった。恐らく鮮魚を仕入れる際に使われたものだろう。「これなら二十日大根を植えられる!!」そう直感した私は家に帰り「魚屋さんに発泡スチロールの箱を譲ってもらえないか聞いてよ。」と母に頼み込んだ。「口があるんだから自分で魚屋さんにお願いしなさいよ。」とあっさり断られた。諦めきれなかった私は再び魚屋さんへ向かった。さっきまで賑わっていた魚屋さんはラッキーなことにお客さんは一人もいなかった。「いらっしゃい。なんだい、買い物をし忘れたのかい?」とおじさんが話しかけてくれた。「あのー、おじさん、発泡スチロールの箱を......」もじもじしながら蚊が鳴くような小さな声でお願いをしたが、店内に鳴り響くラジオの音にかき消されおじさんの耳には届かなかった。もう一度勇気を振り絞って「おじさん、発砲スチロールの箱をください!!」とお願いをした。「あー、いいよ。どれでも好きなの持って行きな!!」と快諾してくれた。どれにしようか迷っているとおじさんが「ボク、ところでこの箱は何に使うんだい?」と尋ねられたのだが、小四男子の趣味が家庭菜園というのはカッコ悪い気がして返事に困ってしまった。
 あれから40年が過ぎ、今ではパプリカとバナナ南蛮をプランターで育てている。収穫を楽しみに毎日お世話をしている。

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